🐾 わんちゃん、ねこちゃんの歯みがきの重要性について

🐾 わんちゃん、ねこちゃんの歯みがきの重要性について


犬や猫の祖先は、野生で生きていたときには歯みがきの必要がありませんでした。
理由は、
• 獲物を噛み砕くことで歯垢が自然に落ちていた
• 食生活がシンプルで、糖分や加工物を含んでいなかった

しかし、現代の犬や猫は私たち人と暮らし、ドライフードやウェットフードなどの加工食品を食べています。これらの食べ物は、

• 歯にくっつきやすく、歯垢がたまりやすい
• 噛む力をあまり使わないため、自然に汚れが落ちにくい

つまり、「自然に歯がきれいになる環境」ではないため、人の手によるケアが必要です。
医療の進歩やフードの質の向上により、今では犬も猫も 15 歳〜20 歳近くまで生きる時代となりました。
しかし長生きしても、歯や口の健康が損なわれていると、最期まで元気に食べて生きることが難しくなり Quality of Life(犬・猫生の質)が損なわれてしまいます。
だからこそ、若いうちから「予防の歯みがき習慣」をつけておくことが、とても大切なのです。

✋ 1. 🦠 歯周病の予防と影響

■ 歯周病とは? 
歯周病は、歯と歯ぐきの間にたまったプラーク(歯垢)中の細菌が原因で起こる慢性炎症です。
進行すると歯肉炎 → 歯周炎 → 歯槽膿漏 → 歯の脱落 に至ります。

■ 歯周病が全身に与える影響
歯周病は口の中の問題にとどまらず、細菌が血管に侵入して全身に運ばれ、心臓病や腎臓病の発症リスクを高めることが知られています。
• 細菌性心内膜炎(心臓の内膜の感染症) • 腎炎、肝炎
• 糖尿病の悪化
• 肺炎(誤嚥による)

2. 🧬 ペットの口内環境の特徴

• 犬や猫の唾液はアルカリ性で、細菌が繁殖しやすい環境です。
• 特に猫は唾液の性質や口内の構造上、歯周病になりやすい傾向があります。
• 歯石になるスピードも人間よりはるかに早いため(3〜5 日)、定期的な歯磨きが必要です。

■人間からペットに虫歯菌がうつる!?
犬や猫の口内は虫歯菌が繁殖しにくい環境であることから、虫歯になりにくいとされています。
しかし、必ずしも虫歯にならないわけではありません。 
スキンシップで可愛いからとキスをしたり、飼い主がかじった食べ物を与えたり、食器を共有するな どして、人間から犬や猫に虫歯菌がうつる可能性があります!
キスまでいかなくても、口周りを舐めさせることにも注意が必要です。
過度なスキンシップはほどほどにしたほうが良さそうです。✋

3. 💉 麻酔下での歯石除去のリスク

• 歯石が固着した状態では、動物病院でのスケーリング(超音波洗浄など)が必要ですが、原則として全身麻酔が必要です。
• 高齢の犬猫や持病のあるペットには麻酔のリスクが高くなります。
• 麻酔を避けるには、日常的なケア(歯みがき)が最も効果的です。

4. 🪥 歯みがきのやり方と習慣化のポイント 

🐶 犬の歯みがき方法(ステップガイド)

🔰 ステップ 1:まずは「口元に触れる」ことから

• 顎の下や口の周りを優しくなでる練習。
• 触れたらすぐに「おやつをあげる」「ほめる」などをして、わんちゃんに積極的に参加してもらいましょう。(おやつをあげることと、言葉でほめるは必ずセットで!)
• 嫌がったり飽きてしまったら、そこで終了し別の日にトライします。
• 慣れてきたら口唇を手でめくってみます。

🧤 ステップ 2:指で歯をなでる
• 清潔な指で犬歯(前歯の横のとがった歯)から奥歯を優しくなでてみます。
• 1 日 1〜2 本ずつから始めましょう。

 🪥 ステップ 3:歯ブラシに移行
• ヘッドが小さめのブラシが柔らかい歯ブラシを使います。スウェーデン製の
 人間の口腔外科手術後の患者さんが使う tepe の歯ブラシがオススメ!です。

• 歯みがきペーストは使わなくて OK です。
コップにお水を用意してブラシをゆすぎながら磨きましょう。
もし歯みがきペーストを使うなら必ずペット専用のものを使用してください。

• 筆を持つように歯ブラシを握り、ブラシを歯と歯茎の境目にやさしく当てます。
最初は当てるだけで OK。慣れてきたらゴシゴシと磨くのではなく、優しくマッサージをするように軽く磨きます。

❗️番外:硬すぎる歯みがきケアグッズやおもちゃにご注意!!
硬すぎる歯みがきケアグッズや、KONGなどのおもちゃを噛ませ続けることは、歯の欠損に繋がることがあります。
与える場合は最新の注意を払ってください。

🐱 猫の歯磨き方法(犬よりも慎重に) 

猫は犬よりも敏感なので、口に触れることから十分に慣らす必要があります。

🔰 ステップ 1:口の周りをマッサージ
• ごはん前やリラックスしているときに、口の周りをなでて「慣れさせる」ことから始めましょう。
• 1日5秒程度でもOKです。

🧤 ステップ 2:指先で歯ぐきにタッチ
• 慣れてきたら手で口唇をめくり、前歯や犬歯に触れてみます。
• 指でマッサージをするようにさわっていきます。

🪥 ステップ 3:歯ブラシが使えればベスト
• 猫ちゃんのお口に合う小さくて柔らかい歯ブラシを使用しましょう。

• コップにお水を用意して、ブラシをゆすぎながら歯みがきをします。
歯みがきペーストは必要ありません。
もし使用するなら必ずペット専用のものを使ってください。 私の経験では歯みがきペーストよりも、お水のほうが嫌がらずに参加してくれているようです。
• 歯ブラシは歯と歯茎の境目に優しくあててマッサージするようにします。 ゴシゴシは厳禁です。
• 一気にやろうとせず、1〜2 本ずつ、嫌がるようならそこで「終了」します。
• 決して無理強いはしないようにしましょう。
ごほうびにおやつをあげて、歯みがきするといいことがあると覚えてもらいましょう。

歯磨きの頻度
• 理想:毎日
• 最低でも:週に 2〜3 回を目標に。

5. 📊 統計とデータ(日本国内の例)

• 日本小動物歯科研究会によると、3 歳以上の犬の約 80%以上が歯周病。
• 飼い主の半数以上が「歯磨きをしたことがない」と回答(※2022 年調査)
• 歯周病が原因で高齢期に治療費が年間数万円以上に及ぶこともあります。

6. ✅ こんなサインは注意!
• 強い口臭(腐敗臭)
• 歯ぐきの赤み・出血
• ごはんを片側だけで噛む/食欲不振 • 顔を触られるのを嫌がる
• よだれが多い・口元をこするしぐさ
• ドライフードを食べるのを嫌がる。
→ このような症状がある場合、すでに歯周病が進行している可能性があるため、 すぐに獣医師に相談を!

🌟 最後に

ペットの歯みがきは「ただの習慣」ではなく、「命を守るケア」です。
最初は嫌がるペットも、少しずつ慣らすことで受け入れてくれるようになります。
またお口まわりを触れられても嫌がらなくなるので、投薬の時でも楽にお口をあけて薬を飲ませることができるようになります。
最初からうまくやろうと考えなくて大丈夫です。根気よく続けていきましょう。👍