【ブログ】猫がいつものフードを食べなくなったら?

「今まで大好きだったフードなのに、最近あまり食べなくなった」

猫と暮らしていると、こんなことがありますよね。
そんなとき、「味に飽きたのかな?」と思って、すぐに新しいフードを探したくなるかもしれません。
でも、猫の場合は、「味」だけでなく「匂い」にも注目してみるとよさそうです。

猫は「匂い」にとても敏感

2026年4月、岩手大学農学部の宮崎雅雄教授、高橋巧大学院生らの研究グループは、
猫の食欲と「食べ物の匂い」の関係について興味深い研究を発表しました。
12匹の猫を対象に調べたところ、同じフードを繰り返し与えると、だんだん食べる量が減っていきました。
ところが、違うフードに替えると、また食べる量が増えました。

さらに面白いのは、フードそのものを替えなくても、「新しいフードの匂い」を加えるだけで、
食べる量が回復したことです。

つまり猫は、
「この味、もう飽きちゃった」というより、
「この匂いには、もう慣れちゃった」
ということで、食べる意欲が落ちることがあるのかもしれません。

研究では、同じ匂いに慣れていくことを「嗅覚順応」と呼んでいます。
これは、猫が一度にたくさん食べるのではなく、少しずつ何度も食べる習性を理解するうえでも興味深い結果です。

岩手大学研究グループによる研究成果のポイント

  • ネコは同じ餌を繰り返し与えられると、摂食量が徐々に減る(嗅覚順応)
  • 異なる餌や新しい匂いを提示すると、再び摂食量が増える(脱順応)
  • 餌そのものを変えなくても、「匂い」だけの変化で摂食量が回復する
  • 同じ匂いをかぎ続けると、その後の摂食量が低下する
  • ネコの少量ずつ何度も食べる行動に、嗅覚による調節が関わることを初めて実験的に示した

いつものフードを食べなくなったからといって、いきなり全部を新しいフードに替える必要はありません。
まずは、いつものフードの「香り」を少し変えてみましょう。

例えば、

  • ウェットフードなら、人肌くらいに少し温めて香りを立たせる
  • 猫用のウェットフードを少量トッピングする
  • 猫用かつお節など、香りの違うものを少量加える
  • 同じシリーズの別の味を少量だけ試してみる

といった方法があります。

ポイントは、「たくさん変える」のではなく、「少しだけ新しい香りを加える」こと。
新しいフードを試す場合も、いきなり全量を替えず、少しずつ切り替えていくと安心です。

実は「食器の香り」も大切かも

そして、もうひとつ意外と見落としやすいのが、フードを入れる食器の匂いです。
猫は人間よりも嗅覚が鋭いため、私たちには「ほとんど匂わない」と感じるものでも、
猫には気になる匂いとして感じられる可能性があります。
特に食器を洗うときは、香りの強い洗剤を使うのは避け、できれば無香料のものを選ぶとよいでしょう。
洗剤を使った場合は、すすぎを十分にして、洗剤の香りや成分が残らないようにすることも大切です。

「フードはいつもと同じなのに、なぜか食べない」というときには、
フードの匂いだけでなく、食器に残った洗剤の香りもチェックしてみる。
これだけでも、猫にとっては食べやすい環境になるかもしれません。

「食べ飽きた」と決めつけないことも大切

もちろん、猫がフードを食べなくなった原因が、すべて「匂いへの慣れ」とは限りません。
口の中が痛い、胃腸の調子が悪い、ストレスを感じているなど、体調や環境の変化が原因の場合もあります。
特に、急に食べなくなった、ほとんど食べない状態が続く、元気がない、吐く、下痢をする、体重が減っている
といった場合は、「食べ飽きたのかな」と様子を見るだけにせず、かかりつけの獣医さんに相談しましょう。

まとめ

猫がいつものフードを食べなくなったときは、
「味に飽きた?」だけではなく、「匂いに慣れた?」
という視点を持ってみる。
そして、フードだけでなく、食器の匂いや食事環境も見直してみる。
そんな小さな工夫から始めてみるのがよさそうです。

参考 岩手大学農学部 
https://www.iwate-u.ac.jp/upload/8f89a278eb6347e3fe14743f091602f2.pdf